石原慎太郎東京都知事の発言によって浮き彫りになったものは、日本人マジョリティの中に根強く存在するアジアへの差別意識、過去の歴史への無反省であった。多彩な論者が様々なポジションから多角的に「発言」の問題性を論じ尽くす。資料多数収録。
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〈編者紹介〉
内海 愛子(うつみ・あいこ)
一九四一年生まれ。六〇年代からマイノリティの人権問題に歓心を寄せる。その後インドネシアに滞在。日本の戦争責任を朝鮮、東アジアを視野に考えてきた。恵泉女学園大学教員(社会学)。著書に『赤道下の朝鮮人叛乱』(共著、勁草書房)、『朝鮮人BC級戦犯の記録』(勁草書房)、『マンゴーの実る村から――アジアの中のニッポン』(現代書館)、『朝鮮人差別とことば』(共著、明石書店)、『朝鮮人〈皇軍〉兵士たちの戦争』(岩波ブックレット)等。
徐 京植(ソ・キョンシク)
一九五一年京都市生まれ。植民地支配や世界戦争がもたらした在日朝鮮人など「ディアスポラ(離散の民)」の経験に根ざしつつ、東アジアに恒久的平和を実現する困難な可能性のために発言してきた。作家。東京経済大学教員。著書に『分断を生きる』、対話集『新しい普遍性へ』(影書房)、『プリーモ・レーヴィへの旅』(朝日新聞社)、『私の西洋美術巡礼』(みすず書房)、『断絶の世紀 証言の時代――戦争の記憶をめぐる対話』(共著・岩波書店)、等。
高橋 哲哉(たかはし・てつや)
一九五六年福島県生まれ。映画「ショアー」や日本軍「慰安婦」問題をきっかけに、世界的視点から日本の戦後責任問題に取り組む。東京大学教員(哲学)。著書に『戦後責任論』(講談社)、『記憶のエチカ』(岩波書店)、『断絶の世紀 証言の時代――戦争の記憶をめぐる対話』(共著・岩波書店)、『私たちはどのような時代に生きているのか』(共著・角川書店)『ナショナル・ヒストリーを超えて』(共編著・東京大学出版会)等。
(本書刊行時点)
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